unENDing Bloody Call



メーカー
Blue Moon  (2012年6月28日発売 【PSP】)  icing candy  (2009年11月27日発売 【PC】)



ストーリー
人間とは別の種族【半綺】(はんき)と共存する都市・グラズヘイムで暮らす少女の物語。

「半綺」とは、その身に特別な能力を宿した異種族と人間との混血種であり、圧倒的な身体能力の差により、人間側が創造する武器では彼らに傷一つ付けることができませんでした。
それにより、「半綺」の蛮行が横行する区域に母親と二人、寄り添うようにして暮らしていた 聖 双葉
(17歳)は、ある日突然、母親を何者かに連れ去られてしまいます。

が、母親の身を案じる双葉の身にも青天の霹靂な出来事が降りかかり、半綺たちを統率する二大組織のひとつ、【フライコール】のボスにならなければいけない事態になってしまいました。
さらに、穏健派である彼らとは違い、過激派組織である 【NEDE】
(ネーデ)に、母親が攫われたらしいとの情報を掴んだ双葉はますます焦燥に駆られます。

ですが、そんな双葉を支えてくれたのは、いつの間にか傍にいることが自然となっていた「彼」でした。
それは「フライコール」の仲間だったり、級友であったり、敵であるはずの「NEDE」の一員であったり----。


ついに情報を掴み、双葉が母親の元に駆けつける夜。
奇しくも、中空に浮かび都市を照らす満月が不気味に赤く染まった夜。

そこで切って落とされる、双葉と「彼」の。
そして、人間と半綺との行く末を賭けた闘いはどのような結末を迎えるのでしょうか?


ゲームの流れ
明確な日付けはありません。双葉が闇組織[ NEDE ]と決着をつけるまでがプレイ期間となります。
選択肢選択により好感度調整をしながら、共通パートから個別パートに入り恋愛ENDを目指します。


システム
主人公の名前変更可能。 但し、デフォルト名だと名前を呼んでもらえます。
主人公ボイスはありません。
CGスチル鑑賞 & シーン回想 & EDリスト有です。 (リストのみ。回想する時はシーン回想で)

選択肢選択による好感度UPで恋愛ENDを目指すADV形式シナリオ。
股掛けENDは存在しないので一途プレイが基本。
闇組織 [ NEDE ] が学園を襲撃するまでが共通パート。それ以降が個別パートとなります。

各キャラ恋愛ENDは2種類。 いわゆる、HappyENDとBadENDがあります。
CGフルコンプ、EDフルコンプをすると、それぞれご褒美CGがOPEN。
EDをクリアすると、PSP版追加コンテンツ【おまけ】がOPEN。
  ED後の後日談と、コメディタッチのパラレルストーリーを楽しめます。(それぞれ新規CG有り)


総評 ★★☆☆
惜しい! 本当に惜しすぎる(>_<)!!

と、もったいなく思ってしまう作品でございました。
人間と異種族との共存、という亜空間設定は素晴らしかったと思いますし、冴え冴えとした月に照らされている感。
キャラクターが見せてくれる胸を締め付けられるような内面の数々。
それらが絡み合った、この世界観には引きずり込む力が確かにありました。
嗚呼、それなのに(;´Д`)!!

以下、マイナス点に感じた部分を列挙いたしますね。

  
*システム周りの異常なまでの不具合!
  
*Q.セーブボタンを押しても、Q.セーブがなされるまでに、たっぷり2秒はかかります。
   
(最初、機能していないのかと思いました^^;)
  
*セーブ、ロードをすると高確率で画面がフリーズ!!  その都度、電源を入れ直す作業が必要に。
  
*文章が固い。固すぎます。
  
*地の文章とヒロインの思考文章が同じなため、ヒロインの個性が潰れてしまっているように感じました。
   
(説明文も、ヒロインのモノローグも同じ文体なので、「ヒロインの思考」というより、「メーカー様がプレイ
    ヤーに感じ取らせたい感情の数々」という文章を読ませられている感じが強かったです(;´Д`))


こんなところでしょうか。
プレイステーション時代の乙女ゲームを思い返せば、「まだマシだよね
」と乗り越えられるようなシステム面ではありましたが(笑)、それでも気力を削がれる、という点だけは擁護できないかなぁ、と^^;
そうですね、あとはゲームの文章も……。
製作元のメーカー様の次回作では文章の固さは取れ、普通に楽しむことが出来ましたので、これを機に改善なされたということなのだと思います(
*^-^*) (『籠の中のアリシス』)
ですが、粗さが取れる前の作品として臨まなければ、結構……癇に障るかもしれません(>_<)

あぁぁ、でもですね。
攻略キャラクター達は本当に魅力的だと思うのです(≧ω≦)
vv
「この世界だからこそ担わなければならなかったもの」を背負っている彼らには、随分と惹き寄せられましたから
vvvv

なので、PCからの移植作品ではありますが快適なプレイを望まれるのでしたら、PCタイトルそのものを購入なされた方が良いとお勧めしたいです。
ですが、PSP版では歯を食いしばって耐えると、その先に「彼」との甘い後日談有り(≧ω≦)!
「えぇぇぇ(笑)」と衝撃的な笑いに包まれるパラレル設定のシナリオも楽しめて、ちょうど釣り合いは取れているような気は致しました^^

プレイ時間は、初周はそれなりに掛かります。えぇと、7〜8時間くらい……かかるかも(>_<)
(文章表示を最速にしても、他の乙女ゲームでは「普通」くらいの速度しか出ないため)
が、2周目からは次のチャプターまでジャンプできる機能を使えば、個別パートまで割合いすぐに辿りつけますので、攻略キャラクターのシナリオをじっくり堪能することが出来ました。
(4時間ほど)
Happy、BadのED内容もそれぞれに相応しいものだったと感じております(*´-`*)
vv

本当に世界設定、キャラクター設定は決して悪くないのにもったいない(⊃Д⊂)!!


と、この[ Bloody Call ] の世界構築を形なしにするようなシステム構成にして発売したことに異議は唱えたいので、「くぉっ(>_<)」と心を鬼にして評価を辛くさせていただきました。

追加要素を盛り込んだからと言ってまるっとプレイヤーに放り投げるのではなく、メーカー様にも快適なプレイ環境を提供することを惜しまない姿勢で移植発売に臨んで欲しい、と思ったタイトルでございますm(_ _)m


登場キャラ(cv)
黎明 (cv.中村悠一)[ フライコール ]幹部。18歳。
  司狼の双子の弟。
  冷静沈着で慇懃無礼な青年。人の感情の機微に疎いところがある。

司狼 (cv.日野聡)[ フライコール ]幹部。18歳。
  黎明の双子の兄。
  女性全てに優しいフェミニスト。配慮に長けているため、弟・黎明のフォロー役でもある。

渉 (cv.鈴村健一)秀真機関構成員。17歳。
  常に義の道を模索しているため、フライコールのボスとなった双葉を快く思っていない。

久神 夾 (cv.石田彰)保健医。27歳。
  物静かで容姿端麗な保健室の先生。合理的な言動を良しとする性格。

カイン (cv.浪川大輔)通りすがりのナンパ師? 19歳。
  街中で絡まれている双葉を助けてくれた人。司狼に負けず劣らず口説き上手。

ジン (cv.森川智之)[ NEDE ]のボス。25歳。
  半綺のためならば手段を選ばない冷酷非道な所業ゆえ、畏怖の対象となっている。

(2013.02.02 UP)