黒との開かない鍵。





メーカー

little cheese(2010年12月04日発売【PC】)【18禁】



ストーリー

学園に通い始めたばかりの頃の耐え難い失敗が元で、不登校となり引きこもり生活を送っていた片桐奏(17歳)は2学年に進級したある日のこと、不思議な夢をきっかけに外に出る覚悟を決めました。
久しぶりの外の空気に高揚感を覚えながら歩いていると、奏の黒髪に目を留めた美容師を名乗る怪しい青年に声を掛けられます。
何も言えないまま伸びすぎた公園で髪を切ることになった奏は、そのひと時で美少女に変身。
しかも帰宅途中、中学時代憧れていた同級生に声を掛けられ励ましを経て、登校をも決意することに。
翌日から元同級生、口うるさいながらも引きこもり中ずっと自分を支えてきてくれた義弟と登校を始める奏でしたが、校門が近づくにつれ怖気づきそうになります。
そんな奏を温かく迎えてくれた親友の存在や、厳しいとばかり思っていた担任の意外にも柔らかだった眼差しも、彼女の学園生活を後押ししてくれました。

たくさんの思いやりに支えられ、再出発した時間の中で近づいていく「彼」との距離と、奏の胸に募る想い。
それは、純真な奏の魅力に魅了された「彼」にも浸み込み、覆い尽くしていきます。
彼女の一挙手一投足に揺さぶられる「彼」の気持ちが向かう先は、果たしてーー。

奏が手にするものは、「彼」との愛情に満たされる幸福の鍵なのでしょうか。
それとも、雁字搦めに閉じ込められる愛欲の鍵なのでしょうか。



ゲームの流れ

選択肢選択により好感度調整をしながら、共通パートから個別パートに入り恋愛ENDを目指します。



システム

主人公の名前変更可能。
但し、デフォルト名でも名前は呼ばれません。「君」「あんた」等に置き換えられます。
主人公ボイス有り。「ON / OFF」可能。
CGスチル鑑賞 & シーン回想(アダルトシーンのみ) EDリスト有です。

HappyENDクリア後に各キャラクターの『鍵』を入手できます。
   全攻略キャラクター&小峰竜樹&白木琴子の鍵を全て集めると追加シナリオOPEN。
選択肢選択による好感度UPで恋愛ENDを目指すADV形式シナリオ。
学園祭終了までが、共通パート。それ以降が個別パートとなります。
基本的に一途プレイでOKですが、一部、他キャラクターの好感度が少し必要なEDもあります。
複数人でのアダルトシーンはありません。
個別パートに入ると【金の鍵の球体】【黒の鍵の球体】が表示され、選択肢選択によって球体内部に液体が
   溜まっていきます。両液体の量で各種EDに分岐します。
「どの選択肢でどの液体が溜まる」といったものではなく、それまでの選択肢選択による積み重ねで量が変化。調整が難しいです。

各キャラクター恋愛ENDは【HappyEND】【GoldEND】の2種類。
   他にダーク系ENDとして【BadEND】【BlackEND】も存在し、CGを入手できるものもあります。



総評 ★★★★☆

難しい。総評の★の数を実に悩んでしまった作品です。
正直に言うと、私個人の全体評価は「★3.5」なのですがキャラクターの魅力が半端なくてですね!!
しばらく現実世界に戻るのが難しかったくらいなのでした(*^-^*)
でも、やっぱり …… う〜〜ん。
以下、私の感じたところを列挙。

*キャラクター全員が病んでいる思考、もしくは性癖の持ち主であること。
*その強い個性ゆえに、恋愛系エンドよりダーク系エンドの方が印象に残りやすいこと。

これらが、引っかかった部分だったんです。

いや、もともと病んでいるキャラクターが私の好みに合っているので、楽しみにしていたのですが……。
何と言いますか、私の最大条件である「主人公を想い過ぎて暴挙に出てしまう」という「病み」ではなくて、主人公・奏ちゃんの存在があるにしろ、ないにしろ、攻略キャラ元々の性格が病んでいる、という設定だったのがプレイしていて違和感を覚えてしまった個所だったんです。
(私の好き条件に当てはまる人物は…… 多分、1人だけかと)

後は、私の嗜好上、先にBadENDを見てラストにHappyENDをプレイしているのですが、これがまた^^;
ダーク系エンドの風味が強くて、恋愛系エンドの余韻をそのまま持ち越せるキャラクターって少ないんじゃないかな、と思います。
「今までこんなENDがあったけど、最後は幸せで良かったね(T-T)!!」という感想に、すぐには上書きされなくて……^^; 時間が少し経過した今では大丈夫なのですが(*´-`*)

と、ここまでは「★の数」に悩んだ理由で、攻略キャラクターに出会えたことには大感謝です!!
よくぞ、ここまで(≧ω≦)vvvv と思える最愛キャラが2人もいますからvvvv
一人は主人公に対する気持ちが真っ直ぐすぎて、視線を逸らせないほどの愛情にもがいている姿に身悶えし、もう一人は底が見えないくらい縺(もつ)れてしまった深い感情がツボすぎました(*´艸`)キャ

上記の列挙部分も加味していただいて、「キャラクターへの愛情があれば平気よ☆ むしろ、蝕まれた世界よ、どんと来い(≧△≦)b」な方々には深く楽しめる作品に仕上がっていると思います^^
システム部分も快適ですから、時間に余裕のない方でも各々の時間配分でプレイが可能。
真綿で包まれるように密やかに、しめやかに。
キャラクターからの愛情しか見えなくなるほど満たされたい方には、是非是非お手に取っていただきたい濃密な作品です(*^-^*)vvvv



登場キャラ(cv.)

園村 郁人(cv.十利須我里)奏の義弟。(1歳年下)
   両親が不在の家を切り盛りしているため、かなり家庭的。奏には辛口しかきかない天邪鬼。

須藤 透央(cv.先割れスプーン)奏の中学時代のクラスメイト。
   かつて奏が憧れていた少年。外貌は変化していても、中身の温かさはそのまま。

紺野 千紘(cv.平 井達矢)クラス担任&国語教師。
   内面を表現するのが不得手なため、冷静沈着、合理的姿勢を崩さない先生。

蓮井 智臣(cv.木島 宇太)美容師。
   微笑を絶やさず物腰も柔らかいが、胸中は見せない人。

(2011.05.14 UP)