月影の −錯パラノイア−


















メーカー
(2013年04月18日発売【PSP】)
「月影の鎖 錯乱パラノイア」のバナーに使用されている画像の著作権は、株式会社拓洋興業様に帰属します。



ストーリー

時は大正。本島からかなり離れた場所に位置する、残月島紅霞市。
そこは煌びやかな花魁を有する花街を大きな特色として、観光産業で潤っている離島でした。
が、大きな震災が襲った年より、わざわざ島に出かけてまで物見遊山にお金を落とす人々は少なくなる一方。
島はさびれていくばかりだったのです。

「離島」という土地柄、島民たちは仲間意識が強い反面、観光客以外の余所者を徹底的に排除する排他主義でもありました。
そんな島民たちが苦しくなるばかりの生活に感情の矛先を向けたのが、島で小料理屋を営むうら若き女将・冬浦めぐみ
(17歳)だったのです。
めぐみの両親は既に亡くなり、育ての母であった女性も身罷ったばかりだったため、絶好の対象だったのでしょう。
もとから「自分がいなければ育ての母となってくれた彼女に迷惑をかけることもなかったのに……」と、自身の存在を厭わしく感じていためぐみは、島民たちからの謂れのない誹謗中傷をも甘んじて受けてしまうのでした。

ーーそのことにより、追い詰められた自身の精神がどんどん疲弊していくことにも気づけずに……。

そのめぐみに挿し込んだひとすじの光。
手を差し伸べてくれた「彼」は眩しくも温かな存在であり、めぐみは深みに嵌まり「彼」に傾倒していきます。

島民たちが抱える不満が爆発する頃、めぐみはどのような心持ちで終末を迎えるのでしょうか。
それは昏き道を照らす、満ちた月光のごとき結末か、それとも。
その光すら呑み込んでしまう新月のごとき、漆黒の終焉となるのでしょうかーー。



ゲームの流れ

明確な日付では推移していきません。
会話選択肢から【愛情度】【依存度】のいずれかを増減させて各種恋愛EDを目指します。



システム

主人公の名前変更可能。(公式ネームにしていると名前を呼んでもらえます(≧ω≦)!)
主人公ボイスなし。
CG鑑賞有り。シーン回想はほぼ全てのプレイシーンを閲覧可能です♪(さすがの一言!)

選択肢選択による好感度値で恋愛EDを目指すADV形式乙女。
明確な日付設定はありませんが、【共通パート】【ペアパート】【個別パート】から構成されています。
会話選択肢には【愛情度】【依存度】が設定されており、選択によって数値が増減します。
それぞれ「愛情END」「依存END」(病み系)に分岐し、数値によっては更にBadENDへ到達します。

各キャラクター恋愛EDは2種類。【愛情END】【依存END】に分岐します。(両EDにCG有り)
BadENDもあり、シーン登録されます。
EDクリア後【おまけ】OPEN。「スペシャル」内に「自己紹介ボイス」「特典ボイス」「コマァシャル」
「特典画像」「ムゥビィ」が収蔵されています。(特典画像がとにかく綺麗(≧ω≦)!)



総評 ★★★

いや、素晴らしいです、TAKUYO様!
このような作品を臆さず創り上げられるという姿勢に感服せずにはいられませんでした(*´Д`)
vv

あのですね、この【孤島】という閉鎖空間でじわりじわりと追い込まれていく過程。
気付けば謂われない誹謗中傷に囚われて一歩も進めなくなるかのようなヒロイン。
そこで彼女の手を取ってくれる「彼」に吸い寄せられて離れられなくなる雁字搦めの愛情!

くぉ〜〜っ、堪らないです〜〜〜(ノ≧∇)ノシ
vvvv

深いんですよ。
シナリオだって考えさせられるものばかりですし、島民からのヒロインに対する扱いだって非道いものです。
でもだからこそ、「思ったことを口には出せず、内に内にと溜め込んでしまう」ヒロインの気質が生きておりましたし、「好いた相手にだからこそ、迷惑はかけられない」と気丈に振る舞う姿には説得力がありました。
めぐみちゃんが足掻けば足掻くほど深みに嵌まり、その深淵さゆえに「彼」は彼女から離れられない。
もうもう
vv
どろっどろの恋愛劇が繰り広げられていく訳ですよ〜〜(
ノωノ)vvvv

が、その分。
愛情ルートにしろ、依存ルートにしろ、
プレイヤーに与える精神的負荷も決して甘い物ではありません。
自分の好みに合致したキャラクターはどこまでもその魅力を如何なく発揮してくれるのですが、反動が大きくて、この作品を一気にプレイし続けられる胆力が残っていないことが多分に予想されます。
なので、休み休み。
もしくは、何か他の乙女作品を間に挟めながらゆっくりとプレイされることをお勧めしたいです(*´-`*)

システム周りに関しましては、「さすが、TAKUYOさん
vvvv」の一言!
実に快適です。どうもありがとうございます(≧ω≦)! とお礼を言いたくなるくらい(笑)
プレイ時間は……そうですね。嬉々として読み進めることの適わない作品だと思いますので、キャラクター1人あたり5〜7時間前後はかかると思います。
ですので、

他人からの誹
(そし)りを二次元のものとして読み流せる方。
綺麗なだけではない恋愛を良しとできる方。
美麗なイラストに心惹かれている方。

これらの条件にGOサインを出せるのでしたら、パッケージイラストそのままの繊細な世界観を以ってプレイを楽しむことが出来るはず(*^-^*)
心に残る作品となるとお勧めしたいです(*´Ω`*)!!



登場キャラ(cv.)

神楽坂 響(cv.新垣 樽助)?歳。紅霞青年団団長。
   先の大震災で島民を多く救った【英雄】。
   本土の人間だが今は青年団リーダーとして島民のために粉骨砕身している、美丈夫で飄々としている男性。


望月 理也(cv.松岡 禎丞)19歳。紅霞青年団団員。
   響に憧れて青年団に入団した[ 切り込み隊長 ]。今は響の右腕として活躍している。
   真面目で多少融通の利かないところもある、律儀な青年。


猪口 渉(cv.浅沼 晋太郎)22歳。陸軍軍人。
   紅霞市有数の資産家の息子。
   温厚で芯の強い男性であるにも関わらず、自身の母親が異国の女性であるため島民からの反発が強い。


榛名 望(cv.成瀬 誠)17歳。旅行者。
   本土からやって来た渉の友人。めぐみのことを気に入り、足繁く『月の畔』に通っている。
   島民に対しては常に毒舌。


大井川 護(cv.三浦 祥朗)19歳。新聞記者。
   めぐみの血の繋がっていない兄。
   めぐみに篤き信頼を寄せており、母親が残した小料理店『月の畔』の一切を任せている。

(2013.05.06 UP)